昨年の年末、ハウスコムの社内ビジコンとお客様に対して接客力を競そう、社内接客コンテスト決勝戦を本社オープンスペースで行いました。
社内の接客コンテストは、毎年開催しているのですが、年々接客のレベルが上がっていることには本当に驚かされます。
私が言うのも少し変かもしれませんが、ベテランの店長や営業さんの接客には、なぜか不思議な安心感があり、無理に営業している気が全然しないんですね。接客のコミュニケーションと言うと、重要なのはお客様に伝えるメッセージの内容だと思ってしまうかもしれません。
しかし、ある研究によれば、コミュニケーションは口に出している言葉が7%を伝え、話し方が37%、そして、相手の目を見る仕草が55%を伝えるのだそうで、実際にお客様は話の内容よりも、声のトーンやボディーランゲージの方を無意識のうちに意識しているのです。
そう言った意味で、まだ営業経験が少ない新人の営業さん達は、当然知識の部分ではベテランの先輩には敵いませんが、お客様が本当に見ている9割の部分と言うのは、口に出している事とはまったく関係のない部分なのです。
今回のコンテストでも、芸人顔負けのテンポとリズムの良さで接客をする若い人たちもいて、本当にコミュニケーションの取り方は人それぞれで、営業という仕事は考え方、やり方ひとつで、どれだけでもクリエティブにできるものではないかと思います。
皆さんは、名古屋にあるレクサス星ヶ丘店のドアマンの方が、レクサスの車が店舗の前を通るたびに必ずお辞儀をしているという話をご存知でしょうか?
もちろん、トヨタの本社がある愛知県ではレクサスが次々と店舗の前を通るわけで、ドアマンの方は一日に1000回以上、月に2万回、そして、年間で24万回、1台も欠かさずレクサスが通過するたびにお辞儀をしているのだと言います。
このレクサス星ヶ丘店は、全国で販売数1,2位を常に争う店舗で、レクサスオーナーから評価もダントツ1位、さらには村上春樹さんの小説の舞台になったのではないかとい噂もあります。
実際の言葉に現れない部分に、どれだけ気を配ることができるかということが、本当のコミュニケーション能力なのでしょう。
笑顔をつくったり、お客様の名前を覚えたりするなど、営業で本当に大事な事というのは、時間もお金もほとんどかかりません。
こう言った本当のコミュニケーション能力こそ、AI時代には、最も付加価値の高いスキルなのかもしれませんね。
失敗をどれだけ財産だと思えるか「新規事業の8〜9割は失敗してもいい。」
そして、この日は今回初めての社内ビジコンも一緒に行いました。ハウスコムに限らず、多くの大企業では既存のビジネスから一定の収益が確保しているため、今の流れをなんとか維持しようとし、新しい領域でビジネスをしようとするのをとにかく躊躇しがちです。
バブル以前の1980年代には、少しぐらい大きなリスクを冒してでも、新しいことにどんどん挑戦する企業が数多くありましたが、今ではそういった企業も少なくなり、これが日本という国が衰退している根本的な原因でしょう。
今回初めて社内ビジコンをやってみようと思ったのも、特にこの不動産業界においては、自ら新しい市場を創造していかなければ、既存の市場は間違いなく縮小していってしまうという考えが常に私の頭の中にあったからでした。
ハウスコムのスタッフをアイドル化して、部屋探しのプロセスをエンターテイメント化するアイディア、ハウスコムで部屋を借りてくれたお客様同士をマッチングして、結婚までをサポートするアイディア、IoTのテクノロジーを活用して高齢者の見守りサービス付きの賃貸住宅を提供するアイディア、入居後のお客様に家事代行サービスを提供するアイディア、そして、もっと、社内全体にキャッシュレス化を浸透させるアイディアなど、想像以上にユニークな考えが多く出てきたように思います。
新規事業を考える時に大切なのは、成功するかどうかなど、実際にやってみなければ誰にも分からないということです。
ユニクロを運営するファーストリテイリング社CEOの柳生正さんは、ユニクロのビジネスは1勝9負で、9回失敗しても、1回大成功を収めればビジネスとして成り立つと述べていますし、ブックオフや俺のイタリアンなどを立ち上げた連続起業家の坂本孝さんも自身の起業人生は2勝8敗だと述べています。
結局は、失敗をどう財産と思えるかが重要で、ホンダ技研がユニークなリーダー、本田宗一郎と常に常識を疑う変人の社員たちで成り立っていたように、ハウスコムでも、失敗をどんどん推奨し、新しいことにチャレンジする文化をつくっていく必要があります。
いま起こっていること、そして、これから起こる事というのは、若い人たちにしか分からないのでしょう。私たち経験豊富な人間がどれだけお金を叩いても、取り戻せないものが若さなのです。
ハウスコムも多くの失敗を推奨し、若者の感性を理解できるユニークなリーダーと、一般の人たちには中々理解されない考えを持つ、ある意味変人と呼ばれる人たちを集めて、常に新しいイノベーションを起こしていかなければなりません。