多様性

多様な人達と接することで、「生きる意味」、「働く意味」をアップデートしていく。

9月18日にハウスコムも協賛させていただいている埼玉県障害者スポーツ大会「彩の国ふれあいピック」が開催されました。

当日はあいにくの雨で、多くの競技は中止になってしまいましたが、様々な体験イベントが実施され、参加したハウスコムのボランティアスタッフ一同も楽しい時間を過ごすことができました。

ハウスコムでは、仕事や社会活動を通じて、障害者、外国人、LGBTGなど、色々な価値観を持った方々と触れ合う機会を大切にしています。

ハウスコムでも障害者の方が働いていますが、障害者の方と接することによって、働く意味とは何か、生きる意味とは何かということを本当によく考えるようになります。

特に最近では、右肩上がりの経済成長が終わり「働く意味が見つけられない」、「生きる意味を教えてほしい」という人たちが増えています。

中には、働く意味や生きる意味を見つけることができず、自ら命を絶ってしまう人もいるのです。

私たち健常者は、障害者が社会で働くためのサポートをしていると思いがちですが、障害者の方々が、ハンデを抱えながらも一生懸命働く姿を見ていると、むしろ私たちが働く意味や生きる意味を教えてもらっているような気がします。

実の妹が障害者であったアメリカのケネディ大統領は、「私は、この国を障害者が税金を支払えるような国にしたい。」と言いました。

人間が一番不幸を感じるのは、仕事がキツイことでもなければ、給料が上がらないことでもなく、誰にも必要とされないことなのでしょう。

人間は、障害などで身体の一部の機能が弱くなると、身体の他の部分で、それを補おうとするため、目の機能が弱くなったら、耳の機能が敏感になるといったように、健常者にはない感情が研ぎ澄まされていくのだと言います。

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の伊藤亜紗さんは著書「目の見えない人は世界をどう見ているのか」の中で、耳で「見たり」、目で「聞いたり」、口で「嗅いだり」といったような感じで、大事なのは、「使っている器官が何か」ということではなく、「その器官をどのように使っているか」ということなのだと述べています。

また、芸術家も同じように、一般の人とは違った感性で創作活動を行っていきます。

童話作家の宮沢賢治の作品の中には、「風を食べる」、「日光を飲む」などといった特殊な表現が出てきますが、これは芸術家特有の、一つの刺激に対して、ふたつ以上の感覚が反応してしまう状態のことを指します。

芸術家が普通の人とは違った感性で物事を表現するのと同じように、障害者の方も、身体の一部の機能が弱くなったことで、別の機能が敏感になり、一般の人とは違った視点で世の中を見られるようになっていくのでしょう。

そういった意味では、障害者の方は、健常者にはない視点で、新しい価値を顧客に提供できる可能性を持っているのだと言えます。

最近は、多様性という言葉をよく聞くようになりましたが、多様な人が企業に集まるから、企業の多様性が増すわけではありません。

人間は生まれながらにして多様な価値観を持っており、むしろ、会社という存在が、多様な人間を一色に染めようとしているのではないでしょうか。

ハウスコムでは、障害者や外国人など多様な価値観を持った人たちが働いていますが、一定のルールは守ってもらいつつも、できるだけありのままの自分でいてほしいと社員の皆さんには伝えています。

不動産業界は、かつては男性社会というイメージがありました。しかし、現在では、女性、外国人、そして、障害者の方が多く入ってきてくれたおかげで、業界のイメージも大きく変わりつつあります。

社員の多様性は、間違いなくお客様の多様性に繋がっていきます。

イノベーションは、ゼロから一を創り出すものと、一から千を創り出すものの2種類があります。

一から千を創り出すものに関しては、業界に詳しい人の方が有利なのかもしれませんが、ゼロから一を創り出す発想のアイディアは、業界に詳しくなかったり、普通の人とは違った視点で世の中を見ている人の方が有利なことも多いのです。

不動産業界に限らず、これからのビジネス成長は、過去の延長線上にはありません。障害者の方などを含めた、異なった視点で物事を考えられる人たちがいなければ、企業というものは存続していけないのです。

そういった意味では、私たちが障害者を支えているのではなく、私たちが一般の人とは異なった感性を持つ障害者の方に支えられているのかもしれません。

ハウスコムでは、企業の多様性を維持し、これからも多様な視点を持った投資家、お客様、そして、従業員の方々に魅力的な企業であり続けるために、社会活動を通じて、微力ながら、地域のサポートを行っていきます。

社内外の多様な価値観を持った人たちと日々接することが、ハウスコムのアイデンティティを進化させていくのです。